お寺に入る前の職場の機関紙に文章を投稿させていただいています。
その5です。
『お寺でラジオ体操』です。
画像はクリックすると大きくなって読めると思いますが、
下に、原稿をのせておきます。
ご興味のある方は是非どうぞ。
『永正寺では、平日の月曜から金曜、
ご近所の方20名ぐらいが毎朝7:30に駐車場に集まられます。
グラウンドは土、
大きな木が茂る広々とした空間で、
朝の空気を感じながら、ラジオ体操が始まります。
ラジオ体操第1と第2、
その間に膝の屈伸と首の運動が加わってのほぼ10分間です。
「お疲れさまでしたー!今日も一日よろしくお願いしまーす!」
気持ちの良い一日が始まります。
このラジオ体操は、
始めて2年半。
最初は4人でスタートしましたが、
徐々に人数が増え最大33名。
毎日参加される方、時々、
気が向いた時の方、
真夏の暑い時期、
冬の寒い時期は参加者が少なくなるなど増減を繰り返しながら、
今はだいたい平均20名ぐらいになっています。
ラジオ体操は、
近年その効果に再注目が集まったり、
CDが極端に売れなくなった状況の中、
売上ランキングに登場したりするなど話題になっていますが、
やはりその健康増進効果は侮れないものがあります。
私は以前、
お盆の数百件を数える棚経の際の正座の繰り返しで、
8月の終わり頃には持病の膝が限界を超え、
通院での注射、リハビリなど1か月程その回復に要していましたが、
ラジオ体操を始めてからは痛みが出ることが無くなりました。
また、肩コリが無くなったという人や、
「健康診断を受けたら数値が劇的に良くなって、医師に驚かれた。ラジオ体操始めたおかげだわ。和尚さん、ありがとう」と
わざわざお礼を言いに来られた方もありました。
もちろん効果など個人的な感想で保証するものではありません、
などとありがちなショッピング番組風になってしまいますが、
もともと効果のあるラジオ体操を、
一人で家の中のテレビを前にして行うのではなく、
朝、屋外で自然に囲まれながら、皆んなですることによる、
心身ともにへの相乗効果があるのではないかと思えます。
そして実はこのラジオ体操、
始めたのは健康増進だけが目的なのではありません。
朝7:30にしているのは、
放送時間の6:30が早すぎるということだけでなく、
7:30にはちょうど
小学生が登校のための班で集合する時間になっていて、
場所も永正寺の駐車場です。
子どもたちと一緒にラジオ体操、
登校するのを地域の大人たちが見送って、
自然に子どもを見守る雰囲気ができないかと思っています。
残念ながら一緒にラジオ体操をすることはできていませんが、
集合場所でケンカしているときに、大人が「どうしたの?」と声をかけるなど、自然な雰囲気づくりができています。
また、今の時代、
地域社会の付き合いが希薄化し、
隣近所でもほとんど交流の無いことも普通になってきています。
「無縁社会」という言葉と現実が、
既に定着しています。
誰にも気兼ねなく自由に生活できるのは快適ですが、
一旦、健康、介護、就職、結婚、子育てなど、
経済的あるいは精神的な悩みや問題ができても自己責任。
周りの誰も無関心、誰にも頼りようのないのが
「無縁社会」の一面です。
今、「孤独感」「孤立感」に苛まれる人は、
急激に増加しているのではないかと感じています。
昔「村八分」という
地域コミュニティーから追放されるものがありましたが、
今は、私たち自身が「良かれ」と思ってお互いのプライバシーを尊重し、
できるだけ必要最小限の関わりにしていこうとすればするほど、
気づかないうちにお互い「村八分」の状況を作り出してしまっている。
そんな状況なのかもしれません。
そんな中、
もっと隣近所が顔見知りになって、
心地よく暮らしていける地域社会ができないか?
毎日ラジオ体操で顔を合わせることで、
自然にそんな雰囲気作りができないか?
目指すのは「顔見知り社会」「顔馴染み社会」。
江南市の全ての通学班の集合場所で、
子どもと大人が一緒にラジオ体操をするようにならないかと思っています。』
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