副住職の法話推敲記録ノート

永正寺では、チン・ポン・ジャランが一人でもできます!

お寺に入る前の職場の機関紙に文章を投稿させていただいています。
その25です。

『永正寺では、チン・ポン・ジャランが一人でもできます!』です。

aichiminiren201706

『それぞれの宗派で、
「葬儀」内容・やり方はいろいろですが、

臨済宗曹洞宗の禅宗などでは、
「チン・ポン・ジャラン」鳴らしものがあります。

 

これは、
「チーンチーン♪」とならす引磬(いんきん)と、

「ポーン♪」と鳴る太鼓(たいこ)、

「ジャラーン♪」とシンバルのような鐃鈸(にょうはち)を、

何人かの僧侶が鳴らす葬儀に参列した方は、
何となく耳に覚えているかと思いますが、

その3種類の鳴らしものを一人ずつ3人ともう一人葬儀導師を合わせて、
合計4名で行う葬儀形式を「片鉢(かたはち)」といいます。

 

実は、この僧侶4名で行う片鉢は簡略形式で、
3種類の鳴らしものを2人ずつで行う「両鉢(りょうはち)」が
一般的な葬儀ということになっていました。

「両鉢」だと、3(種類)×2(人)+1(人・葬儀導師)で、
合計7名の僧侶で行うのですが、
ここ数年の急速な葬儀の小型化のなかで、
ほとんど見かけなくなりつつあります。

 

確かに参列者が20名程の葬儀で僧侶が7名もいれば、
何となくバランスがとれないような感じで、
片鉢の4名にしたり、
葬儀導師の僧侶1名のみにする場合も本当に多くなってきました。

 

これは10年ほど以前
さらに2人の脇葬儀導師を加えた合計9人になる
「三仏事(三導師)」といわれる大葬儀があったり、
ほとんどの方が両鉢(7人)や片鉢(4人)で一般葬をしていた頃と比べると、

まさに激変です。

 

 

そもそもこの「チン・ポン・ジャラン」の鳴らしものは、
自宅やお寺で葬儀を行ったあと
そこからお墓まで棺を担いで皆で葬列をつくって移動する際に、

「チーン、ポーン、ジャラーン」
鳴らしながら移動した名残りで、

 

その音で、村の人、地域の人、近所の人に
お知らせするものでもありました。

その当時は「土葬」であったものが「火葬」になるなど、
時代とともに変化で、

「チン・ポン・ジャラン」は葬儀の中に組み込まれるようになりましたが、

ここ数年の葬儀の小型化は、
この「チン・ポン・ジャラン」という鳴らしものを
葬儀から無くしてしまう変化をもたらしつつあるのかもしれません。

 

引磬、太鼓、鐃鈸と一人ずつ最小人数でも僧侶が3人いないと成立しない
「チン・ポン・シャラン」ですが、
葬儀導師ひとりのみの場合は、
引磬のみの「チーン」だけということで、

「チンチン葬」という業界用語!?も
だんだんと定着しつつあるぐらいです。

この連載の5月号「グリーフケア・葬送文化(その2)」では、
お経に馴染んで心を落ち着かせる習慣を条件付けのように身につけておくことが、
グリーフケアとして意味があると述べましたが、

「条件付け」という意味では、
お経だけでなく「チーン、ポーン、ジャラン」の音もとても重要です。

 

普段耳にすることのない厳かで少し怖いような!?、
独特な響きが、非言語非理屈非日常「人が亡くなった」ことを直接
心に響かせます。

 

音が引磬のみの「チーン」だと何か足りない気がしたリ、
葬儀という実感が薄れてしまうことにもなりかねません。

 

 

実は、永正寺の住職(注:この文章を書いている私は副住職です)は、
約20年前にすでに、
今のこのような葬儀の小型化の時代の到来を予見し、

何とか一人だけでも「チンポンジャラン」ができないものか?
と試行錯誤を重ね、

引磬・太鼓・鐃鈸が一つに組み込まれる自立式の台の製作を、
近くの鉄工所に依頼して完成させました

 

そして当時、
お寺関係の仏具を扱っている業者を通じて全国販売!をしたのです。

 

その名も
無伴僧(むばんそう)』。

 

もちろん
まだ時代は住職の発想についてこれずでした(それでも数台は売れたみたいですが)。

 

現在は専ら永正寺でフル活用しています。
僧侶一人でも二人でも「チンポンジャラン」が鳴らせます。』

江南 永正寺(葬儀改革、癒し空間、コンサート)

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