お寺に入る前の職場の機関紙に文章を投稿させていただいています。
その27です。
『僧侶は肉を食べてはいけないのか?霊が見えるのか?僧侶へのよくある質問』です。
『僧侶になってから、いろいろな質問をされることがあります。
一般の世界とは違うしきたりや文化があって、
なかなか一般の方がその体験をする機会などもありません。
代表的なものについて私なりに少しお答えしたいと思います。
Q1、僧侶は肉を食べてはいけないのか?
A1、もともと2500年ほど以前のお釈迦さまは、
托鉢で戴いたものは肉類であろうと食していたのですが、
仏教が伝わってくる過程で「肉食」を禁じるようになり、
肉や魚などの動物性のものを使わない「精進料理」などが工夫されてきました。
私の宗派の臨済宗の現在では、
修行道場にいる間(私は犬山の瑞泉寺に3年間)は、
基本的に動物性のものを食べない生活で、
例外として、
檀信徒さんなどからのご供養いただいた場合は肉類を食べています。
私は修行道場から帰ってきたすぐの頃は、
身体があまり油を受け付けず、
焼き肉など少し多くの油を摂ると体調が悪くなっていました。
一般の方の習慣でも、
葬儀から一週間後の初七日までは、ご馳走などを控え慎ましく、
動物性の食事を控えて、
初七日法要後にはじめて肉類を含んだ食事を解禁する
「精進落とし」と呼ばれる食事がありましたが、
現在は同日に葬儀、火葬、初七日法要を行うので、
「精進」の期間がほとんどなくなってしまっていて、
「精進落とし」という名前にその名残りがあります。
Q2、お酒は飲んでよいのか?
A2、仏教の最も基本的な5つの戒(五戒)には、
「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」があり、
文字通りお酒は飲んでいけないことになっています。
お寺の山門の傍の石碑に
「不許葷酒入山門」
(葷酒山門に入るを許さず・くんしゅさんもんにいるをゆるさず)
と刻んであることを見かけることがありますが、
ニラ、ネギ、ニンニク、ラッキョウなど辛味や臭味のある野菜=「葷」とともに、
「酒」は山門から入ることすら許されないものだったのですが、
いつの頃からかお酒を仏教の智慧(=般若)がつまったお湯、
「般若湯(はんにゃとう)」と呼ぶようになったりなどと、
なし崩しになり!?
法要の際の食事などをはじめ、
多くの僧侶は一般の方よりお酒をたくさん飲むようなイメージがあります。
ちなみに私は体質的に全くお酒を飲めません。
Q3、タバコはどうか?
A3、煙草は五戒などの戒には無いので堂々と!?吸うことができるらしいのですが、
戒律ができた当時には煙草自体が存在していなかったという、、、
「受動喫煙防止」など世の中は喫煙に厳しさが増す一方ですが、
お寺の世界では会議などの際に当然のように灰皿を準備するところが未だにあります。
ちなみに私はかなりのタバコ嫌いです。
Q4、修行では滝に打たれるのか?
A4、臨済宗(禅宗)は坐禅、掃除などの作務などが修行なので、滝には打たれません。
Q5、霊が見えるか?
A5、見えません。
臨済宗では、そのようなことなどに捉われないように、
心を静め、心を調えていくことを目指していく教えだと理解しています。
Q6、僧侶は結婚してはいけないのか?
A6、先ほど挙げた「五戒」に不邪淫戒(ふじゃいんかい)があり、
お釈迦さまは、
ナンダという若者を結婚式の前日に出家させて弟子にしたという逸話があって、
出家して僧侶になったからにはもちろん結婚してはいけないし、
異性と目を合わすことすら許されないという厳しい教えで、
現在でももちろん僧侶(出家者)は、
結婚してはいけません。例外の日本を除けば、、、。
日本の僧侶で最初に公然と結婚をしたのは
鎌倉時代の浄土真宗の宗祖・親鸞聖人と言われたり、
法的に僧侶の妻帯が認められたのは明治の太政官布告だということです。
現在、多くの僧侶は妻帯し、お寺を世襲していくことが一般的になっています。
ところで、年齢的(46)に遅めではありますがご縁をいただきまして、
私も10月に結婚することになりました。
いろいろと協力して「寺おこし」を進めていけたらと思っています。』
コメント
竹内さんの船上パーティーでご一緒させて頂いた渡辺ともうします。
いつも、なかなか他では聞けない内容を教えていただきありがとうございます。
最後まで読んでいたら、ご結婚されるとか。おめでとうございます。